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by maxguid
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カテゴリ:川倉靖さんの記事( 6 )

昨年の暮れに開館したムゼオ・デル・ノヴェチェント。
1900年代の絵画を集めたミュージアムである。
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ウンベルト・ボッチョーニを代表とする「未来派絵画」は、
当時、活動写真(映画)の出現に押される形なった。
絵画に中にも、ある種のムーヴメントを感じずにはいられない。
新しい絵画のスタイルを確立したとも言える。

例えば、ジャコモ・バッラの絵画「バルコニーの女の子」を見ても、
今まさに、小さな女の子が走っているのが分かる。
「走る」ではなく「走っている」現在進行形なのだ。
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関係ないが、このような止まっているのに動いている目の錯覚の様である。
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しかし私がどうしても気になってしまったのが、
ジョルジョ・デ・キリコの「放蕩息子」であった。
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この「形而上絵画」。
実は、今でも良く理解していないことを、自白してしまおう。
様々な資料を読んだところで混乱に拍車をかけるだけなのだ。

したがって私は逆説的に考えることにした。
「形而上」とは「形而下」ではないものである、と。

「形而下」は物理的なもの、物質、目に見えるもの言うのであれば、
「形而上」はそれ以外のもである、と。

イエスはよく、たとえ話を使って教えを説いた。

二人の息子がいた。
弟の方は親が健在なうちに、財産の分け前を請求した。
父は下の息子の要求通りに与え、弟は遠い国に旅立つ。
そして放蕩に生きて散財したのだった。

財産も使い果たし、大飢饉が起きて、
その息子は豚の世話の仕事をして生計を立てる。
豚のえささえも食べたいと思うくらいに飢えに苦しんだ…。

我に帰った時に、帰るべきところは父のところだと思い立ち、帰途に着く。
父は帰ってきた息子を走りよってだきよせる。
息子の悔い改めに先行して父の赦しがあった。

たとえ罪を犯した者であったも、改心した者には惜しみなく 愛を与え、
そして寛大な心を持つことをは大切なことだ、というものであった。

子を思う親の心は決して物質的な、目に見えるものでは無い。
弟が帰ってきたとき、父はどんな顔をして迎え入れるのか、
絵画で後ろを向いている父親から想像をするしかない。

私はこの絵画を眺めながら、自分の両親を思い出していた。

日本から離れたイタリアで好き勝手に生き、
たいして電話やメールなどの連絡もいれないこの私に対しても、
たまに帰国した時は、心から暖かく迎え入れてくれる両親。

そして日本に帰国した私は、上げ膳据え膳の毎日で、
箸より重い物など持たない国賓級なの扱いを受ける。

絵画を通して感じる事は、
子供を案じる親の気持ちは時代が変わっても、
国や人種が異なっても変わらない。普遍的なものかもしれない。

しかし、この至福の時も、
二週間過ぎたあたりから突然急変するが現実。

「一体いつ結婚するのか」
「結婚相手はいないのか」という質問…。
「早く孫の顔が見たい」という要求…。

王様の様に振舞っていた私は気が付いた。
王様の中に、首をはねられた王様もいる、と。

風向きが変わって、火の粉がこちらに飛んで来る前に、
荷物をまとめてイタリアに出発する。
これは何度目かの帰国に時に学習した。

実家に長居は無用である。

「私は放蕩息子としてこの町に帰ってきた。
今、また放蕩息子としてこの町を離れる…。」by川倉靖

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by maxguid | 2011-08-12 05:51 | 川倉靖さんの記事
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国際スケート連盟の主催による
世界フィギュアスケート選手権の2009-2010年シーズンで、
シニアクラスの男女シングル、ペア、アイスダンス種目など、
2010年3月22日から3月28日までイタリア・トリノのパラベラで開催されました。
1896年に第1回大会が開催されて以来、100回目の大会です。

会場のトリノパラベラは、トリノ・オリンピックでのフィギュアスケート競技会場。
2006年の五輪では、フィギュアスケートとショートトラックスピードスケートが行なわれ、
荒川静香さんが、日本人初のフィギュアスケート金メダルを獲得した舞台です。

会場の外観はヨットの帆「VELA」をイメージさせるフォームで作られ、
トリノ中心街から来るまで20分ほど南へ移動したところに位置しています。

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1961年に完成したPALAVELAは、
1969年のイギリス映画「ミニミニ大作戦」(ITALIAN JOB)でも使用され、
警察の車とカーチェイスをした際に、
車でこの建物の屋根に上っていくというシーンでも有名です。
http://www.youtube.com/watch?v=j0nXDOr1r6A

その後、2003年からオリンピックに向けて改築され、
スケート会場としてはおよそ8000人、
バスケット・ボールの試合では9000人の収容が可能になりました。

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観客の入場口は西口または南口となり、
チケットをチラ見するくらいのゆるいチェック体制で、
試合を見に行くというよりも、コンサートでも行くような雰囲気です。

それもそのはず、男子SP、FSの会場内は大半が女性でした。
サッカーの試合とは違うわけです…。

ちょっとシート間の狭いベンチシートに座ると、
会場内の異常な暖房の強さに驚かされ、
氷の表面が柔らかくなるのではないかと、
素人考えで心配してしまいました。

私はイタリア滞在が15年になりますが、
初めて生で日本の国歌を聞くことになりました。
何だかとても不思議な感じです…。

表彰式の後、会場を後にするとき、
イタリア人の観客から「おめでとう!」「すごく良かったよ!」
という温かい言葉をまわりからかけられ、
別に…私が試合に出たわけではなく、
「ボーっと」見ていただけなんですけど…、と最初は思っていましたが、
だんだんとまるで自分のことのように嬉しくなってしまいました。

「喜びをみんなで分かち合う」というイタリアの考え、
温かいイタリアの観客に心から感謝したいと思います。

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川倉 靖
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by maxguid | 2010-04-07 17:47 | 川倉靖さんの記事
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ドゥオーモ広場にある地下鉄へ続く階段に、
突如現れたピアノの「巨大」鍵盤。
結構、いい音が出るんです。

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題して「SCALA MUSICALE」。

スカラと言えば、まずスカラ座を連想しますね。
もちろんミラノは音楽の町、オペラの殿堂は有名です。

しかしこの場合のスカラの意味はイタリア語で「階段」。
「音楽を奏でる階段」と詩的に訳してもいいでしょう。

さらに次なる意味もあります。
スカラとは音楽用語で「音階」とも訳します。

「階段」と「音階」を掛け合わせているんですね。


ピアノの音が鳴るのが面白いのか、
隣の階段が空いていても、わざわざこちらを通るため、
一斉に階段に人が集まると、まさに「不協和音」。

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しばらく見ていると、一人のイタリア人男性が、
何か曲を弾こうと必死に階段を上り下り始めました。

でも、なかなかうまく行かず、まわりから「頑張れ!」の声。

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10分くらいトライしていましたが、
彼も、年甲斐もなく夢中になってしまったことに、
きっと後悔しているに違いありません。


なぜなら、「筋肉痛」は次の日にやってくるからです。


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ミラノ、川倉 靖
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by maxguid | 2009-12-27 08:52 | 川倉靖さんの記事
残りあとわずか、12月27日まで無料で公開されている、
ダ・ヴィンチの絵画「洗礼者ヨハネ」である。
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1939年の5月に一度ミラノで公開されたが、
普段はルーブル美術館に行かないと見ることが出来ない作品。
実際は、ガラスケースの中に入っていて、
大体2~3分鑑賞することが出来る。

数分程度だと良く分からないうちに終わってしまうと思い、
今回は数で勝負。何度も足を運んでみました。

小皿しか置いてないバイキングの食事で、
何度も料理を取りに行ってしまう心境かもしれない…。

そして、この絵画に関してとてもよく分かったことがあった。
それは…。

「よくわからない」ということが分かった。

私は仕事上、「最後の晩餐」の絵画を見る機会が多い。
一時期、毎日見ていました。
多いときは連続して一日に7回入場したこともある。

一番多く「最後の晩餐」を見た日本人として、
ギネスに載ったかもしれないと妄想しつつ、
これも「よくわからない」ということがはっきり分かった。

最後の晩餐の説明をもっともらしく書いている学者は、
実はあまり本物を見ていないのが現実なのである。

さて、今回の「洗礼者ヨハネ」もいつも通り、
1)色のグラデーションが全く分からない
2)絵筆の跡が全く分からない
3)輪郭線が全く分からない。
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それに加えて、彼が何故「斜視」なのか?
謎だらけの絵画でした。

彼の得意としていた「ぼかし」の技法により、
輪郭は描かず、人物を浮かび上がられているだけ。

輪郭のないものをどう模写すればいいのか??

もし警察の事情聴取で似顔絵を作成するとき、
「顔はどんな形ですか?」と聞かれても、答えられます?
ないんですもの、輪郭が。

今回ガラスケースに入っているため、
結構、接近してみることも出来たのですが、
実はこの絵画、微妙に反り返っているんです。

「斜視」に関して言うと、
ダ・ヴィンチは普通に描いたつもりが、
反り返っているため、正面からの写真にすると、
斜視に見えてしまうだけなんじゃないか?
とも感じました。

皆さんは、どう思いますか?

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ミラノ、川倉靖

お問い合わせは、マックス・ハーベスト社まで。
http://www.maxharvest-travel.com/
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by maxguid | 2009-12-18 08:39 | 川倉靖さんの記事

期間限定「蝶々夫人展」

スフォルツェスコ城には12の博物館があります。
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歴史博物館など常設のものあれば、
期間限定で展示会も開いています。

現在、2010年1月10日まで展示しているのは、これ。
必見!「蝶々夫人展」です。
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何が必見かといえば、展示室の入り口に立ちふさがる巨大化した蝶々夫人。
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ここまで巨大化する必要があるのか謎ですが、
今や、お台場の実物大「ガンダム」と戦えるのは彼女くらいでしょう。

展示会は、日本庭園、日本家屋をイメージした作りで、
まるで蝶々夫人のオペラに迷い込んだ錯覚さえ感じます。

ただし、今から100年前、日本など行ったことのない人たちが、
限られた資料の中からイメージを膨らませた「日本」です。

「本当はこんなのじゃない!」と絶対に一笑してはいけません。
日本文化に興味を持ち、広めて行こうと思ってくれたイタリア人に感謝です。

しかし、彼らの努力も虚しく終わりました。

舞台は長崎。
没落藩士令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛悲劇。
1902年、プッチーニはパリ万博に足を運び意欲的にオペラの製作に取り掛かりましたが
1904年ミラノのスカラ座で初演では、大失敗に終わってしまいました…。

原因
①初演版では、第2幕の上演時間が1時間半!!…長すぎです。
②文化の異なる日本を題材にした作品であったため。
③「恥に生きるより名誉のために死ぬ」という結末。

以上の点において観客が違和感を覚えたという原因が挙げられています。

③に特に注目ですが、イタリア人の女性なら
「恥に生きるより、名誉のために旦那を殺す」でしょうから浮気も命がけ、
蝶々夫人の行動パターンは、イタリア男にとって「謎」でしたでしょうね。

館内にはアリア「ある晴れた日に」が流れていますが、
蝶々夫人の登場する嫁入りの音楽の方が私は好きなんです。
http://www.youtube.com/watch?v=vYuo0w5ow4U

これから起こる悲劇など微塵も感じさせない、
彼女の「幸せ絶頂期」が見事に表現されています。

旦那の帰りをひたすら待つ意志の強い日本人女性、
潔癖なほど純粋な愛を貫くヒューマニズムを印象付けながらも、
ドゥオーモ広場の王宮で同時期に開催されている春画展って…。

題して「江戸時代の芸術とエロス」。
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こちらも興味があります。
何が興味があるって?イタリア人がどんな反応をするかです。

お問い合わせは、マックス・ハーベスト社まで。
http://www.maxharvest-travel.com/


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ミラノ、川倉 靖
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by maxguid | 2009-11-15 19:47 | 川倉靖さんの記事
今年もまたこの季節がやってまいりました。

私の恒例行事になっている「イタリア職人展示会」
http://www.expodeisapori.it/eng/visit_home.php
ここ、ミラノの見本市会場で行われます。
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そして必ず足を運んでしまうロンバルディア州ヴァルテッリーナ地方のブース。
お目当てはこれ。
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この地方の名物、そば粉を使用したパスタ「ピッツォッケリ」です。
ショートパスタとロングパスタの中間くらいの微妙な長さで、
一口では口に入らず、かといってフォークに巻けず…。

「帯に短し襷に長し」とは、このことです。

北イタリアの山岳地帯であるヴァルテッリーナ地方は、
土地がやせて小麦の栽培には適していないため、
そば粉が使用されるようになりました。

中身はジャガイモ、キャベツ、チーズ、バター、にんにくと、
とにかく想像しただけで「重い」!!

今ではこれを食べるのが、
私の一年に一回の楽しみになってしまいました。

他にも、楽しいブースがたくさんあるこの展示会。
一日じゃ足りないかも?

12月5日から13日まで開催しています。入場無料。
お問い合わせは、マックス・ハーベスト社まで。
http://www.maxharvest-travel.com/


川倉靖、在ミラノ15年。c0226627_8575845.jpg
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by maxguid | 2009-11-04 09:00 | 川倉靖さんの記事